みちのく巡り、至福の9日間
2019年10月31日から11月8日までの9日間、東北を旅してきた。
「東北に入り浸りたい」と言うのは年来の夢で、今まで断片的に足を踏み入れたことは有っても、今回のようにまとめて、しかも紅葉真っ盛りの時期に9日間、幸いにも雨に降られることも無く、下北半島を含め東北一円の魅力を堪能できた9日間は「至福」の一言に尽きた。今回相当欲張ったスケジュールで回った9日間だったが、しかし「入り浸る」と言う程には東北はあまりに広く魅力が多すぎて、それを満喫し尽くすには到底9日や10日では事足りず、又いつの日か、今度はもう少し余裕のあるスケジュールで回ってみたいと、改めて強く思った次第。
写真の表示
以下、基本的に回った順にその情景を写真でご紹介します。
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山居倉庫・鳥海山
山形県のホームページによると、「山居倉庫は1893年(明治26)に酒田米穀取引所の付属倉庫として、旧庄内藩酒井家により最上川と新井田川に挟まれた通称『山居島』に建てられた」とある。12棟の巨大な倉庫群は当時も空調や風よけの為の様々な工夫がされていたが、現在は更に機械設備による空調などにより、立派に現役を務めている。
鳥海山は山形を代表する独立名峰で、鳥海ブルーラインは海抜ほぼ0メートルから1,100メートルの4合目まで一気に登る。只この最頂部付近は今回、周遊期間唯一雨に振り込められた場所で風も強くなり、撮影はおろか散策もままならず、下りの山道での車の横転なども頭をかすめ、早々の下山となった
ブルーライン下山口の近く、秋田県にかほ市の「奈曽川公園キャンプ場」で第1日目の車中泊となった。
十和田・奥入瀬・酸ヶ湯
言わずと知れた日本でも1、2を争う紅葉の名所。
行く前、既に東北の紅葉には少し遅いのでは? と思っていて、事実標高の高い酸ヶ湯付近はブナが殆ど落葉して、白い幹が坊主になっていた。しかしその手前の十和田・奥入瀬は正に紅葉真っ盛り(もう1日・2日早かったら最高か?)。特に奥入瀬から蔦温泉に至る間は、それまでのクヌギやミズナラ交じりの雑木林から、ブナの純林、それも幹の太さの揃った二次林に変わり、見事さに息を呑みながらの運転だった。
酸ヶ湯の千人風呂に入り、その駐車場で車中泊。
動画『奥入瀬渓流から別れ、蔦温泉を経て酸ヶ湯への道』はこちら
既に暗くなって来始めた時間だったので、画質はあまり良くありません。悪しからず。
下北半島
酸ヶ湯から青森に下って、下北半島に入った。
下北で圧倒されたのが仏が浦の奇岩・巨岩。約2000万年前、日本列島が大陸から切り離された時期、地球の歴史上でも有数とされる規模の海底火山の連続によって火山灰が積み重なり、それが固まった凝灰岩が波や風に侵食されてできた風景。浸食が激しい為、逆に植物が根付かずこの奇岩となったようだ。
海からそそり立つ崖を形成し、海岸に沿っての道路は無く、陸上からのアクセスは国道338から高低差100m徒歩20分程、階段状の遊歩道が唯一。只海岸に沿って展開する長大な全体像を見るには遊覧船など、海からしかなさそうだ。船が泊まる岸壁も整備されている。
大間崎は本州最北端の地で有ると共に、大間はクロマグロの1本釣りで知られる。
尻屋崎は下北半島東の突端。灯台と寒立馬の放牧が見られる。車は夜間通行止めのゲートを通って出入りする。牧場内は馬優先。
恐山は500円払えば中に入って参詣、温泉にも入れるのだが、着いた時間が遅かった為中に入るのは諦めて、宇曽利湖脇の広い駐車場で車中泊。
五所掛け温泉自然研究路
八幡平アスピーテライン、西端入口近くに有る五所掛け温泉に隣接する散策路。オナメ・モトメの噴気孔、紺屋地獄、大泥火山や大湯沼など。1周約40分、足元はよく整備されている。
八幡平・玉川温泉・乳頭温泉郷
八幡平はアスピーテラインを1周してきたが、標高も高く、この時期車から降りて散策するには寒すぎた。ブナやクヌギ、ミズナラなど紅葉を楽しむコースでもなく、八幡沼だのアオモリトドマツだのに触れるには夏場に訪れた方がいいと思った。
玉川温泉はPH1.05の強酸湯が1分間9000?自噴する。どちらも日本一。源泉温度は92℃。
日本で唯一北投石を存し「ラジウム温泉」として知られていて、「末期がんが治った」など、観光より湯治で有名。自然研究路沿いには無料の岩盤浴に浸る大勢の湯治客が横たわっている。かって秋田大学医学部の出張所だったか研究所が併設されている、と聞いたことが有ったが今はどうなんだろう?
今回で3回目の入浴だったが、昔は湯に入ると必ず、見ず知らずの脇の人からその効能を講釈されたものだった。実際、インキン・タムシなどが有れば局所はピリピリするし、1週間も入っていれば完治するんじゃないか、と思わせる。
昔は混浴だったが時代の変化か外国人観光客を考慮してか、今回はしっかりした仕切りが有った。この歳になってスケベ心で言う訳じゃないが、みちのくのおおらかな混浴文化が残されてもいいんじゃないか、と思った今回だった。
既に冬季閉鎖になっていた乳頭温泉郷キャンプ場で車中泊。周りのブナ林は既に時期的に遅かったのか、紅葉を過ぎて枯葉になっていた。
入浴はしなかったが、黒湯温泉、鶴の湯を回ってきた。
田沢湖は日本一の深さを持つ湖。かって玉川温泉の強力な酸性水が流れ込み、田沢湖固有のクニマスなども絶滅したとされたらしい。
2010年、お馴染みのさかなクンが山梨県西湖の「ヒメマス」の中に、「クニマスではないか」と推察される個体が有ったため、専門家に分析を依頼、クニマスであると判断された。1935年、田沢湖から西湖に送られたクニマスの受精卵10万個を孵化後放流したものが、繁殖を繰り返して現在に至ったと考えられているようだ。田沢湖に里帰りさせ、育成しようとの試みも有ったらしいが、残念ながら田沢湖の酸性度がそれを許していないようだ。
角館・銀山温泉・山寺
角館、春は枝垂桜、秋はカエデ(モミジ)の紅葉が武家屋敷の佇まいと相まって風情がある。
銀山温泉も木造三階建ての佇まいなど、特に雪の風情が写真愛好家に好まれる。
山寺立石寺は山腹に築かれた伽藍群と、芭蕉の「静かさや岩にしみいるせみの声」の句で有名。
裏磐梯
磐梯山の大噴火によって作られた景観。浄土平、五色沼、檜原湖等など。
大内宿
江戸時代における会津西街道(下野街道)の旧宿場。
中山道の奈良井宿、妻籠、馬籠などとはまた違った雰囲気の宿場(跡)。中国からと思しき観光客が多かった。
それにしてもこれだけの家屋を維持するだけの茅を確保するのも大変だろう。
国道352を、桧枝岐から奥只見湖、シルバーラインを経て大湯に
桧枝岐に近い「道の駅きらら289」で最後の車中泊。道の駅とは行っても駐車場での煮炊きははばかられるのが普通だが、ここは駐車場の奥、川(伊南川)の脇にベンチが有って、火を使うことも出来そうだったので、お湯を沸かしてラーメンで乾杯。兎も角温かいものが一番。
翌日桧枝岐から御池、奥只見湖脇を走り、シルバーラインのトンネルを通って大湯に抜けた。
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