故郷を離れて既に40年 東京・武蔵野の水辺を中心とした身近な風景と駄文を発信します

魚沼の雪と、蒲原平野の雪

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魚沼の雪

魚沼地方が豪雪地帯であることは、そこに住んでいる人だけでなく大方の人が知っていることだろう。
もう20年も前のことだが、市(City)としての世界積雪記録No-1の栄誉?は十日町市が持っている、と云う文章を読んだことが有る。
当時六日町は未だ市になっていなかったが、今なら南魚沼市もランクインすることになるかも知れぬ。

私はずーっと、なぜ北の北海道や東北に比べてさえこの魚沼に、かくも大量の雪が降るのか実は不思議だった。寒い方が雪は多い筈だろう、ってのが単純に考えられることだったからだ。
地球温暖化が深刻に喧伝されていた時の、後で「平成18豪雪」と呼ばれる記録的な豪雪が有って、その時ひらめいて腑に落ちた。

日本列島は弓なりに湾曲していて、大陸からの距離、言いかえれば日本海の差し渡しが一番広いところが、つまりは北陸地方の新潟と云うことになる。
シベリアからの乾燥した高気圧が日本海を渡って来る時、その長い経路全域に渡って日本海の湿気をいやと云う程吸収し新潟に上陸する。それが列島の背骨にぶつかって舞い上がり、上空で冷やされて雪となり県境の魚沼に降り積もる。そして群馬にカラッ風として抜けて行く。
地球温暖化で海水温が上がれば上がる程、この豪雪傾向が強まるんじゃないかと、終わりの見えない雪下ろし作業の中で、ゾッとしたことを覚えている。

横殴りに吹雪くことも無い訳ではないが、魚沼の雪は基本的には上から「素直に」降ってくる。
その様は、チラチラとか雪やコンコンの時も有るが、地元の表現「モカモカ」が一番ふさわしい。粉雪が上から上から、まさにモカモカとひっきりなしに降ってきては一晩に1メートルもその上も積もる。
降雪量の累計記録、と云うのはあまり聞かないが、年間20メートル位にはなるだろう。降った雪は固く押しつぶされながら、時として3メートル近い積雪に及ぶこともある。「23年豪雪」では入広瀬で505センチを記録したと云う。この時幸いにも六日町近辺はそれ程でも無かった。

2階から出入りするとか、電線をまたいで歩いたとか、「この下に高田有り」の立て札が雪に刺さっていたとか、虚実織り交ぜて色々なエピソードが各地に語り継がれている。
私の経験だが、この積雪たけなわの時、たまたまそう云うことを全く知らない関東の人間が遊びに来て、その連中に「この雪が全部消えるまで、3年位掛かる」と云って、「ふーん」と納得させたことが有る。
地元の人間にしても夏場、今年の冬はここまで雪が積もったと、背丈よりもはるかに高い場所を指さされ、一瞬信じられない思いに捉われたことさえある。

 

雪国に住む者の思い

魚沼人の共通の心情的経験としては、真冬に三国トンネルを抜けた時、そこに広がるあのまばゆいばかりの日差しと穏やかな風景、そこに決まって感じる或る種の羨望・妬みだろう。
魚沼に人が住みついてどれ程になるか、その辺は亘の「八海山のホラ」をホラ話としてでなく読むとして、兎も角数百年の間毎年この差が蓄積して来た訳で、これは大きい。
ボクのこの控え目で純朴な性格も、この環境と先祖からの蓄積が無縁ではないだろう。

11月の後半頃から故郷魚沼は時雨が続くようになる。そこにみぞれが混じり雪に変って行く。野から緑が消え枯れ草と無彩色が覆う。この時期が魚沼に住む者にとって一番つらくやるせない時だ。尤もこの辺は「スキー命」って人にとっては又、別の思いかも知れないが。
いっそ雪が積もってしまうと諦めがつく、と云うか、気持ちも冬の生活に移行するのだが、そこに至る雪国の晩秋は、そこに住む人の心をなんとも云えぬ侘しさで締め付ける。

「春が……いいすけでねぇ」と、自分を慰めてもそれはそれ、春の嬉しさが秋の侘しさの代わりを務める訳にはいかない。
代わりには出来ないが、春の嬉しさが又格別で有ることも事実。
この二つは雪国に生まれ、そこに育った者にしか分からない感覚だろうし、身の底の底に染みついた感覚だろう。

……と思っていた。
ところが、東京に出てきて4、5年もした頃、あれ程心を締め付けていた晩秋の淋しさ・侘しさを殆ど忘れてしまっていることに気が付いた。
そりゃそうだ、秋の深まりと共に、天ますます晴れ上がり一点の曇りも無い日が続く。探せば山茶花など、冬に咲く花さえ結構見つかる。今やスッカリその憂愁と無縁の心情となっている。
故郷よ、節操の無いこの俺を、どうか許してくれ。

 

蒲原平野の雪

魚沼の雪は、正にその量が問題で深刻だ。
だが新潟市周辺、蒲原平野など、海に近い平場の雪は又、時に別の危険が有る、横殴りの風だ。
その典型は山形の酒田から鶴岡に繋がる国道7号線の吹雪と吹き溜まりで全国に知られる。冬になるとその日本海側何Kmに渡って防風壁が設置されるが、それでも何年に1度かはこの吹雪に巻き込まれ多くの車が立ち往生、雪に埋もれている。平行して走る羽越本線も度々この強風の影響を受けている。
私も冬の酒田・鶴岡線を車で走ったことが何回か有るが、幸いにして吹き込まれたことは無い。だがこの吹雪の恐ろしさの一端を、新潟市に住んでいた時2回程経験している。

吹き殴る雪とその風に舞いあげられた雪で、視界は殆ど利かない。道路も雪で真白、吹雪に溶け込んでその境界もサッパリ分からない。まるで牛乳の中を走っているようなもの。
路肩が全く判別できない時、車は自然に道路の中央に寄る。同じように中央寄りを走って来た対向車が突然視界に入ってきて、ギク!!
かと言って危険を避ける為車を止めて避難する訳にも行かない。道路にそんなスペースは無いし、視界が利かないまま走って来た後続車に追突されてしまう。境界の分からない道で無理して横に避ければ、路肩から転落するかも知れない。
兎も角かすかに見える前の車を頼りに車を走らせるだけ。

夜の吹雪も怖いが昼の、なまじ明るい時の方が影も何も無い真っ白の世界で、時に眩しく逆に危険なことが有る。
こんな吹雪の時でも、1歩住宅街に入ると風が遮られて、嘘のように何でも無いことが有る。この辺が魚沼の雪と違うところだな。

 

付け足し

そう言えば魚沼とも蒲原とも関係ないのだが、冬の凍てつく夜にこんなことが有った。未だ北陸自動車道が全通しておらず、上越市と富山県境までの間は国道7号線を使っていた頃の話。
富山・金沢で仕事を終え、長い東頸城の海岸線を新潟市に向かってひたすら走っていた夜の10時ころ。道路は放射冷却と海からの風で凍結状態。

7号線は幾つかトンネルがあって、その一つのトンネルから出た時、カーブしながらゆるく下り坂になる道の脇に、カメラが三脚で据えられていた。明らかにトンネルを出た車がカーブでのスリップ事故を起こす瞬間を狙ったもの。
「バカヤローがぁ!!」と車の中で怒鳴りながら通り過ぎたのだが、これって………、

事故の原因を作っている訳じゃないから犯罪にはならないだろうが、事故を期待・想定しながらの行動には違いない。凍てつくなか有るか無いかの事故を待ちながらの待機もゴクローには違いないが、実際事故を起こした人がいたとしたらぶん殴られるよな、間違いなく。
それとも事故からの教訓分析の為とかで、警察など当局による撮影だったのか。

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