故郷を離れて既に40年 東京・武蔵野の水辺を中心とした身近な風景と駄文を発信します

方言シリーズ第一弾(おれ、ボク、私)

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おれ、ボク、私

お盆に入った。
帰省して、久しぶりにふるさとことばでくつろいでいる向きもお有りだろう。
今回はその「ふるさとことば=方言」に付いての大考察。

先ずは第一弾として、特に方言と言うことでは無いのだが、「おれ、ボク、私」について。

 

「おれ」しか知らなかった

魚沼は八海山の麓に生を受けた我々、団塊の世代の子供時代、第一人称は「おれ」以外には無かった。女の子も「おれ」じゃなかったっけ。

ちなみに第二人称は「にし」と「おまえ」でことが足りた。
にしは仲間同士の呼び方で「お主」の語義転化だと思われ、おそらくかっては「お主」の字づら通り敬語だったんだろう。「貴様」と同じことだと思う。
しかし言葉には「頻繁に使われるに従い、位(くらい)が下がる」と言う法則が有って、いつの頃か分からないが「にし」はおれと対等な位に、「貴様」も同等か、或いは更に位を下げて蔑称にさえなり下がってしまった。

「おまえ」にまつわる、魚沼人の悲喜劇

この「頻繁に使われるに従い、位が下がる」と言う法則が、故郷魚沼と他の地域、特に都会での適用に差が付いたのが「おまえ」だと言える。それによる悲喜劇も良く聞く話。
故郷で「おまえ」と言えば、「御前」の字づら通りに目上の人に対する敬意を込めた呼び方だったし、先生に向かっても使っていた。言わば字義に忠実な、本来の使い方が残っていた、と言える。
しかし一旦魚沼を出てしまうと、大方の地域では「おまえ」の位は遥かに下がる。貴様と同等程度。どっちにしても名前の呼び捨てと同じ失礼な言い方になってしまう。

就職で都会に出て、先輩や上司を、本人は敬意を込めた積りで「おまえ」呼ばわりして、相手から殴られたとか怒鳴られたとか、一種ステレオタイプ化した語り草になってしまっていて、同じような話を何度も聞く。
何れにしても故郷では、二人称は「にし」と「おまえ」だけでこと足りた。女の子も「にし」だったと思う。「にしは」を縮めて「にしゃ」の言い方も普通だったし、「おれは」を縮めて「おらぁ」とも言っていた。

 

問題は「ボク」だ

それは兎も角として………、
「おれ」だけでこと足らして来たボク達が、社会に出ると「おれ」だけでは間に合わなくなって「私」を使うことを覚える。
これはもう自然の成り行きで「私」を使うことに抵抗は無い。否応なくそれに順応する。
問題は「ボク」だ。
どうもこの「ボク」が苦手なんだな、ボクには。
何と言ったらいいのか、お坊ちゃんを気取っているような、上品ぶっているような変な居心地の悪さ、座りの悪さを「ボク」に感じる。

他人が使っているのを聞く分には全然違和感は無い。ごく自然に普通に聞くことが出来る。
いかにも上品そうな「ぼくちゃん」は勿論、年配の紳士、例えば三国連太郎や、もう死んでしまったが松本清張のようなごつい顔をした人が「ボク」と言っても、或いは普通のサラリーマン、職工、学校の先生、又は、ホームレスの人がインタビューに答える時でも「ボク」で特に違和感を感じない。
他人が使っているのを聞くのは全く違和感を感じない「ボク」を、ボクが使おうとすると何故かスムーズに出ない。
そんなのは単なるおまえの自意識過剰だ、って言われそうだが、必ずしもおれだけのことでも無さそうで、余り中学の同級生で「ボク」を使うのを聞いたことが無いんだよなあ。
論より証拠、この「八海山倶楽部」でも、おれ、おいら、私など、それぞれケースによって使い分けているし、使い分けられているが「ボク」だけは出てこない。
ボクだけの事情でなく、例えば亘が「ボク」と自分を呼ぶのも中々想像し難しい。Qにしたって同じようなもんだ。

これを読んでいる御同輩、御前、アッ、いやいやあんたはどうだ?

 

チョッと不便

しかし最近、おれと私だけではどうも不便、と言うか不足を感じる時が出てきた。「おれ」と「私」ではその間隔が空きすぎているような気がするんだな。
おれでは少しタメ口過ぎるし、私では改まり過ぎのような、その中間が欲しい。時としてそんな思いにさせられる場面が有る。特に仕事抜きにプライベートでのお付き合いの時に。

そろそろ俺も、僕の練習でもするか。

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コメント(1)

そうだよなあ!
【僕】なんて突然言い出したら、「にしゃー何時から僕ちゃんになったんだー?」なんて言われそうだ!

ま、【俺(おれ)】【おいら(1人称、ただし3人称の俺達の意味でも同じ発音で使う)】【私(わたし、女性の場合は“わたくし”と使う事も)】の使い分けが、オレ達のスタンダードと言えそうだ。

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