故郷を離れて既に40年 東京・武蔵野の水辺を中心とした身近な風景と駄文を発信します

桃園川-1(本流-源流部)

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桃園川について

 

桃園川は神田川の支流で、源流は荻窪の天沼弁天池とされる。全ルートが暗渠化され本流部分の大半が緑道となっている。特に阿佐ヶ谷でJR中央本線を超えた所から神田川合流まで、「桃園川緑道」としてきれいに整備されている。
桃園川緑道だけ取っても約5キロ弱、これだけの長さでこれだけ整備された暗渠緑道は東京でも珍しい。

 

水田灌漑用水と「暗渠の迷宮」

桃園川流域は、荻窪・阿佐ヶ谷の地名が示す通り、上流部から神田川合流まで、ゆるい谷が帯状に続いている(地形図参照)。かってそこに水田が広がり、桃園川はそれを潤す灌漑用水としての役割を持っていた。
広がる田一枚一枚にまんべんなく水を供給する必要上、灌漑用水路の常として細かく枝分かれし細流が網の目のように入り組んでいたことだろう。
関東大震災以降移り住む人が増加、宅地開発の為水田はつぶされ水路も1本化されたようだが、今でも支流・細流の跡は主に阿佐ヶ谷地内で至る所に現れる暗渠道に見る事ができる。
迷宮のようなこの暗渠道を歩いているだけでは、その全体像もつながり具合も到底把握できない。写真のGPSデータを地図上にプロットして初めてつながりがおぼろげに見えてくる。しかしそれも完全にではなく、既に所どころ痕跡が分からなくなっている場所もある。

 

このシリーズでは、上流部沿線の支流は『桃園川-1(源流部)』で本流と共に扱い、最も長く一貫していて主要な支流だと思われる「天沼1丁目支流(仮称)」は独立にページを設け『桃園川-4(天沼1丁目支流)』で扱っています。その他阿佐ヶ谷地内の至る所で見られる暗渠網は、確認できる範囲で『桃園川-5(阿佐ヶ谷地内、支流網)』で扱っています。

 

源流天沼弁天池と千川上水からの助水

水源となっていた天沼弁天池は既に湧水が枯渇し、現在は公園となっている敷地の片隅に、後から造られた人工池があるのみとなっている。
下掲地形図を見ても分かる通り、弁天池周辺はそれ程際立った谷地と言う訳ではない。おそらく湧水量にも限りが有っただろうし、周辺の都市化と共に枯れるのも無理からぬことだったのだろう。
この弁天池からの湧水だけでは流域の水田用水を賄えず、1707(宝永4)年、千川用水から青梅街道に沿って「六ヶ村分水」と呼ばれる水路を切り助水を得ていたそうだ。工事尽力者、井口半兵衛・相澤喜兵衛の名をを取り、半兵衛・相沢堀とも呼ぶ。

 

本流、支流

「天沼1丁目支流」にしても、又ここに掲載してある「河北総合病院脇の支流(仮称)」にしても、本来支流とか本流とかの区別は無いのかも知れない。
水田が広がり、そこに張り巡らされた水路に「○○川」「××堀」などの各々の呼び方は有っても、本流・支流等と区別しての意識はなかったんじゃないか。魚沼の農家出身である私自身の経験から言っても多分そうだと思う。
源流部から、現在「桃園川緑道」となっている下流部との一貫した繋がりを持った水路跡、宅地化に伴い一本化されたらしいその水路を、便宜上「本流」としてここでは扱い、それ以外を「支流」として扱っているにすぎません。

 

桃園川全体の撮影Map

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六ヶ村分水追分、荻窪天沼弁天池から阿佐ヶ谷まで、本流と幾つかの支流

ここでは追分から始まる桃園川暗渠道を、天沼弁天池も経由し、途中の支流も取り上げながら、阿佐ヶ谷の中杉通りまで辿る。

 

地形図

クリック、拡大表示でご覧下さい

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撮影Map

クリックするとGooglemapと連動して開きます

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JR中央本線荻窪駅北口

写真後ろに青梅街道が斜めに走っていて、この400メートル程左(新宿側)で中央本線をくぐる。

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六ヶ村分水、追分

荻窪駅北側の青梅街道。
六ヶ村分水は、千川上水が青梅街道と交差する、現在の関町一丁目付近に取水口が設けられ、この青梅街道に沿って水路が切られていた。途中「切り通し口」「柄杓屋口」「清水口」「四面道口」「天沼口」「阿佐ヶ谷口」と、灌漑用の配水路が設けられたらしい(すぎなみ倶楽部様より参照)。写真の水路(跡)は天沼口になる。
同時にこの天沼口地点は「追分」と呼ばれ、ここより上流が「半兵衛堀」下流が「相沢堀」となるそうだ。
相沢堀はこのまま青梅街道に沿って右(南東)に2キロメートル程流れ、中杉通りがぶつかる杉並区役所辺りで、後に掘られた天保新堀用水に合流・助水する。

天沼口コースを辿る

今回はこの天沼口を北に向かって住宅街の中を進む。

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住宅街を縫って進む、暗渠道。

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天沼弁天池公園からの暗渠道

緑道に、天沼弁天池公園からの暗渠道が北側から入り込んでくる(写真左側、自動車と建物の間)。

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天沼弁天池公園

一旦本線から離れ、元々は源流だった天沼弁天池から

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弁天池

桃園川の水源となった弁天池。天沼・瓢箪池などとも呼ばれていたらしく、この地の地名「天沼」の由来ともなった。広さ約300坪。
しかし現在湧水は枯渇。これは人工的に作られたもので、元々の弁天池とは関係ない。

1975年(昭和50年)に天沼八幡神社が改築される際、弁財天を八幡神社境内に移設した上で、社地は西武鉄道に売却された。湧水は埋め立てられ、「ゴルフ研修所」と称して当時西武鉄道会長であった堤義明と関係女性宅が建った。その後会社の株式上場廃止に伴って2004年に杉並区に売却され、2007年(平成19年)に区立の天沼弁天池公園として整備された。この公園内にある池はこのときの公園造成で造られた人造池であり、本来の池とは異なり湧水はない。

Wikipedia より転載

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弁天池公園側からの合流地点

緑道の向こう側は天沼もえぎ公園。

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暗渠・緑道に戻って

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南側からの支流

右(南)側から短く小さな支流が合流する。確認できる範囲で長さは125メートル程。
一番上流側(天沼2丁目5)から辿ってみる。

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本流に合流

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本流に戻って

藤乃湯の煙突

廃湯を水路に流せると言う便宜上、暗渠となった今でも銭湯は付き物。

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北側から入る支流

写真左側、支流が合流してくる。
確認できる範囲で、上流から辿ってみる。

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一番上流側

と言うか、これ以上進めない。ここから下流側に辿る。

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前方、本流に合流

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本流、緑道を進む

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慈恩寺

写真手前の道路、左(北)約40メートル強の地点で、天沼1丁目支流(仮称)が始まる。

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南側から支流

写真右側から、又1本支流が入ってくる。確認できる最上流部から辿ってみる。

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確認できる範囲で、最上流部

天沼1丁目21辺りから始まる。

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本流緑道に合流

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本流に戻って

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分岐

ここで直進と左折に分岐するようだ。
ようだ、と不確かな言い方しかできないのは、この先中杉通りまでハッキリした暗渠の形跡が認められない為。
だが中杉通りを超えた先のつながり具合からして、直進コースと左折コース両方とも、かっての川筋だったと思われる。

広さからしてもこの直進コースが桃園川本流筋に見えるのだが、中杉通りを超えた先の暗渠の連携を見ると、どうも本筋はここからの左折コースのようだ。

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中杉通り

右方向、500メートル程でJR中央本線阿佐ヶ谷駅。

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左折コース

分岐地点(2枚上の写真)から左に曲がる。こちらが本流か?

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中杉通り

阿佐ヶ谷駅脇を南北に走る中杉通り。中杉通りを超えた」先も暗渠は続くのだが、市街化に紛れ判別しにくい箇所もあり、つながりは必ずしも明瞭ではない。

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