「出来ません」

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はじめに

写真はある年の冬季閉鎖3日前の早朝・上高地、大正池~河童橋迄の遊歩道途中にある、「田代池」から
の 「穂高連峰」。

近日中に投稿しようと思っているブログのひとコマで、今回のテーマとは関係ありませんので悪しからず。

   ♦ 晩秋・早朝の「穂高連峰」 (左から、西穂高岳・奥穂高岳・前穂高岳・明神岳)
2005.11.07 田代池・上高地.jpg

 

プロローグ


「出来ません」 って、人が言う時は、一体どんな場合にそう言う発言になるのだろうか?

今回はそんな事について考えてみましょう。

普段の出来事から整理して分類してみると、 (・・・の後の文は、当事者の心理面を推定)

   1. 自信が無い時・・・・・・・・スキル・能力的に、自分には出来ないと思ってる

   2. 自分の本来の仕事を優先したい時・・・・・・自分の通常業務範囲を脅かす懸念

   3. やらなくてもいい仕事だと思って居る時・・・・依頼内容が納得出来ない・反感

   4. 責任を取りたくない時・・・・・・・タッチする事で生ずるリスクを回避したい

   5. やりたくない ・・・めんどうくさい、自分がやらなくても責任を取る必要は無い

他にもあるだろうが、大きく分けるとこの様に分類できると思う。

 

経験


私の場合、30数年 某計測器メーカーの営業としてセールスエンジニアみたいな事をして来たが、
ユーザーからの新規機能要求があると、社内の開発エンジニアは、自分の技術の範囲で判断して
「出来ません」 と言う例が非常に多かった。

営業になって初期の頃はそれを自分で咀嚼もせずに、生真面目に顧客に対して「技術的に難しい」
と伝えてしまい、「1年後に別のメーカーがそれを実現させて居た」 と言う苦い経験があった。

いわゆる、折角の「ビジネスチャンス」を逃してしまったのである。

以来、社内で 「出来ません」 の回答が出た場合、お客様の考えて居る構想案を詳細に聴き出した
り自分なりの開発ヒントを調べたりして、何度も社内検討をしてもらう事にした。

その時以後の経験では、最初 「出来ない」 と言っていた案件も、7~8割は可能なものであった
と記憶している。
特に、ユーザーとメーカー間の案件の場合実現可能になるものゝ相談が多い事には明確な理由もあ
る。  それは具体的な相談の前に 「現場を熟知しているユーザー側で、かなり細かく検討して見通
しを付けている場合が多い」 事である。
また、お互いがユーザー側とメーカー側の知識と技術を寄せ合えば発想の転換もし易いし、アイデ
アも出し合えて開発もスムースに進む。

そんな繰り返しが私に取っては貴重な体験であった。 そこから学んだ事は、これまで 先人達が繰
り返している言葉ではあるが、

 【「出来ない」 と思ったら、いつまで経っても出来ない】

    【「出来る」と思って取り組めば、必ず 「ブレークスルーの道筋」 は見えて来る】

と言う事である。

 

最近の出来事から


ガラッと話題は私事に変わりますが、昨年の7月に定年後2回目の会社員を辞め、約1年後の今年
6月から再々就職で現在の職場を得た。

所が、自宅は茨城県なのだが 職場は群馬県、車で深夜走っても片道2時間強、日中であれば早くて
も片道3.5時間。 とても通勤出来る距離では無い。

勿論、好き好んでこんな遠くに職場を求めた訳では無い。「私の年齢で、社員として受け入れてく
れる職場がたまたま此処に有った」 と言う事情であった。その為現在は寮が生活の主体である。

それでも職場が見付かった私は恵まれている。 同時期ハローワーク通いをしていた同世代の知人
達の8割は少ない年金と生活費の差額を、短期アルバイトや短期の契約社員(実質はアルバイト)
で繋いでいるとの事である。 (先日会った知人の話)
所が、アルバイトや短期契約社員になると、仕事の有る期間は求職活動出来ない。従って求職活動
と短期労働の繰り返しが、正社員へのハードルを、更に (本人のスキルとして認めてもらえない、
逆に 「長続きしない」 と言うマイナス評価) 高くする為 “負” のスパイラルに入る。

実は、こういう実態が若者達にも多く見られた。 勿論、彼等は年金をもらえる訳では無い。
そんなハローワークでの人間模様は通う立場の人で無いと理解出来ない様だ。
ハローワーク側の対応は、殆んどが事務的に、来た者に対して並べて選ばせるだけ、と言う印象が
拭えなかった。

話を本題の 「出来ません」 に戻しましょう。

自宅は茨城県(留守宅)、勤務地は群馬県と言う2重生活の私、先月中旬に、無職時代に国民健康
保険に加入した事と、6月から会社の社会保険が重なっている事に気が付いて、9月18日に自宅
の管轄市役所・担当部署にTELを入れた。

男性職員が応対してくれたのだが、最初の説明では

   「来庁して・手続きしてもらわないと、国民健康保険は切り替え出来ません」 

と、言うものだった。

群馬に常駐して勤務しなければならない私が帰れるとしたら日曜日に帰るしかない事等を説明して
郵送等の方法が無いかと打診するも、

   「平日に来庁して本人確認して届けてもらうのがルールになっている」 

との一点張り、

   「私の名前や住民基本台帳等から社会保険料が支払われている事が確認できるはず、
    書類が必要なら郵送で処理する方法があるはずではないか?」

と、確認するも、

   「住民基本台帳や他の部署のデータを見る事は【個人情報保護法】の為出来ないので
    我々の部署としては、被保険者が直に来ていただくしか確認出来る方法がない」

との一点張りで、らちが明かない。 ついに私の堪忍袋も限界、「上司に変われ!」 となったが
しばらく席を外した後、上司では無く再び本人が出ていわく、

   「上司に相談の結果、特別に郵送で対応するそうです」

と、言うでは無いか。

   「何が特別だ! 出来ると言うことではないか!」 と、つい言わずに居られなかった。

と言う様なスッタモンダが有って直ぐに書類を、群馬県の寮へ送って貰う事になったのだ。 が、
1週間経っても2週間経っても着かないので10月4日、再度市役所にTELをした。

今度は女性の職員が応対してくれたのだが、履歴を調べてくれた彼女の説明を聞いて、前回対応
した男性職員に、改めて≪彼≫ならさもありなん、と、怒る気も失せた。

確かに、「次の日に群馬に送ったらしいのだが、住所を間違えて送った為返却され、改めて茨城
の自宅に再送してある」
・・・・・との事であった。

そんな対応でいいなら、最初から自宅へ送れと言う。 自宅へ帰れないからTELしたのである。

「≪彼≫ならさもあらん」 と思ったのは、こちらが住所を伝えた直後に再確認する事も無く、ま
た電話番号の確認も無くいきなり電話を切られてしまって居たからである。

反面、今回の女性職員の電話応答は素晴らしかった

私から一連の状況説明を聞き、内容を復唱して確認をすると、

   「大変申し訳ありませんでした、私自身で少し調べて見ますので少しお時間を・・・」

と、言い  「今日中に私から何らかのご返事を差し上げます」 と言う事で、待つ事約1時間。

   「大変お待たせ致しました、確認が取れましたのでご報告致します・・・」

と言う、女性職員からの報告が入った。 要旨は次の通り、

   1. 「国民健康保険 → 社会保険への変更手続きの件・・・・郵便で可能」

        【本人確認も、こちらで(同庁舎部局間で)出来たとの事】

   2. 「新しい必要書類は群馬の方へ “私が” 責任を持って本日発送致します」

と、言う事だった。

おまけに、男性職員が【個人情報保護法】の為、当方では調べられないと言って居た 社会保険
加入日(6月1日)や、納付金額迄調べて来てくれたでは無いか!

勿論、後日、手続き用の書類が群馬の私の手元に送られて来た事は言う迄もない。
(しかも、発送の翌々日には郵便物が届いたかどうかの確認TELを入れる入念さである)

私にして見たら、女性職員の対応はパーフェクトである。

男性職員の、あれ程かたくなに 「出来ません」 と繰り返した内容を、僅か1時間の間にすべ
てを調べてくれたのである。

あの 「出来ません」 は一体何だったのだろうか? ・・・・ プロローグの 1~5項目のいず
れに当てはまるのかは、読者のご判断にお任せしたいと思います。

 

エピローグ


  「出来ません」  と言う事は簡単だが、無責任に「出来ません」って言う前に

         「出来る様にするにはどうしたら良いか」 を考えて欲しいものである。

  最後に、しっかりフォロー出来る女性職員がいらっしゃった我等の市庁舎職員達に、一筋
  の光明を見せてもらった気がする。

  「有難う! 女性職員!」

     「見習え!男性職員! ゴタクを並べる前に自ら汗を掻け!」

  これ本音。

  ただし、此処で挙げた、【男性職員】と【女性職員】は市職員全体の男女を区別した総称
  ではありませんので誤解の無い様に
お願い致します。

  あくまでも、今回私に対応してくれた職員の個人名では差し障りが有るのでイニシャル代
  わりに使わせてもらった仮名とお考え下さい。

    (それこそ、個人情報保護法に触れない様に配慮させて頂きました)

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以前の「藤圭子」の書き込みで、短編小説を一気に読んだようだと書いたがこの記事も一気に読み終えた。文中の見出しの文字が切れる現象があって、少し読みにくかったが今のところ解決方法はないのかな。
起承転結で書かれたような、今回も短編小説を思わせる読み応えのある内容だった。
最初の題の「出来ません」にビックリして、次に、一般的な「出来ません」の意味の問いかけから入っていくなど、徐々に本題に近づいていくなど読む人を引き付ける書き方には驚いた。最後にまた最初の「出来ません」に戻しているなど文章力には又驚いた。
久の30年のセールスエンジニアの経験で培った蓄積が滲みでてくるような内容であったような気がした。
それにしても、読み応えのある書き込みであった。

有難う!

ちょっとした事だけど、お役所仕事の両局面を体験した為、何となく書いて見たよ。

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このブログ記事について

このページは、久が2013年10月 8日 10:36に書いたブログ記事です。

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