「千夜一夜」の国々

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幼い頃、有線放送で、吉永小百合さんの「赤胴鈴の助」を始めて聞いた頃だった。

やはり夕方のNHK番組で「千夜一夜」と言う物語を知り、その後本やラジオ、TVや映画で、月の砂漠
夢に描き、
シンドバットアラジンランプの精空飛ぶ絨毯物語」 に思いを馳せて、いつの日にか、
彼の国に行って見たい
【夢の国】のひとつであった。


そこは今、宗教の名を借りて無用な対立に民衆を引き込む為政者たち、そして ISIS (又は ISIL 
などと言う盗賊団が支配する、混沌の国(国々)となってしまった。

 (ここでは敢て、盗賊団名:イスラム国 は使いまません。以後は便宜上「 ISIS  」とします)

 ※ 国会答弁などで政府答弁では「 ISIL 」の名前を使う様になったみたいですが、ネットや
   イスラム国からの脱出者も多くは「 ISIS 」と呼ぶ人が多い為、本稿もこの呼称を採用す
   る事に致します。

なお、政治的な事や宗教的な事を書くつもりはありません。
が、ここでは人間として、日本人として、今回の出来事にどう立ち向かうべきかを考えて見たい
そう言う観点では政府の対応についても最後の方で多少触れざるを得ないと思います。

 

二人の日本人 (後藤健二さんと湯川遥菜さん)

 

まずは被害に遭われたお二人への、お悔やみを申し上げると共に、ご冥福をお祈り致します。

ここでは人間として、日本人としてのお二人の行動規範について、整理してみましょう。
読者にも、改めてお考え頂く為の切っ掛けになればれば幸いです。

なお、以下の 私見は、「新聞・週刊誌・TV・ラジオ」 と言った一般メデイアからと、ネット情報
基に判断したもので、実際には別の真実が有るかも知れない事を念頭に置いて、最終的には読者ご自身
が適正なご判断
をして頂く様お願い致します。

 ※ ネット情報については特に、一般メデイアと違い極端に偏った意見・誤った情報も多く、
   常に一般メデイア情報などとの整合性を検証しながら判断する必要があります。

    特に個人の【ブログ記事などの情報】 鵜呑みは間違いの元 となりますのでご注意を!
    私の場合内容に疑問を感じた時は、前後の別の話題や、一般メデイア情報との比較
    など、記載内容の整合性や筆者の思考バランスなどを判断させてもらっています。 

さて、メデイア情報によると、お二人の接点はシリアで拘束されていた湯川さんを後藤さんが、交渉
して救出したのが切っ掛けで交際が始まったと言われている。

その後、湯川さんが再びISISに拘束され、帰国して居た後藤さんが湯川さん救出に向かい、同じ
ISISに拘束されて、その後については各メデイアが詳しく報ずる通りの悲しい結果になってしま
った事は皆さんご承知の通りです。

ところで【今回の人質事件】、改めて考えて見ると結果が残虐で非道な結末で有った事は別として、
今回の事件は起こるべくして起こった事件と言えないだろうか?

相手がISISで無くとも紛争地域に足を踏み入れると言う事は、人質事件や誤射・誤爆に遭わない
保障が無い事を充分に承知して居るべき人で無ければならず、また、例え足を踏み入れる理由が世間
を納得させ得るものであっても、万一の時に第三者を巻き込まない配慮も必要である。
 (と、私の常識は考えている)

そもそも、お二人が彼の地に行かなければならない理由から見て行きましょう。
 

 

二人の行動規範   (一般メデイア、及び ネットからの情報を基にした【私見】です)

 

  【湯川遙菜さん】の場合


    最終渡航時の目的 : 【イスラム戦線(イスラム国との)戦闘取材】だそうであるが・・・

    活動実態 : 現地からの戦闘員気取りの写真入りブログや設立した会社名からは、とても
           ジャーナリストとは思えない。
           むしろ、ヨーロッパ等の傭兵請負会社を連想させる構想を持って居たのでは
           無いかとも思われる活動が実態の様だ。

    行動規範 : 紛争地域にビジネス(戦争ビジネス?)チャンスありと、 自らの経歴に箔 
           付ける為のパフォーマンス・・・と、言うのが行動規範として随所に伺える。
             (亡くなられた方に鞭打つつもりは無いのですが)
           残念ながら、「自分の行動が誰かに迷惑を?」 などの考えは無い方の様だ。

 

  【後藤健二さん】の場合

 

    最終渡航時の目的 : 【湯川遙菜さん救出】

    活動実態 : ジャーナリストとしてもバリバリの現役。
           国内外での数々の実績も有り、特に紛争地域の子供達に関する取材の本は高い
           評価を受ける等、これからも期待されて居た人材。

    行動規範 : 国際感覚、責任感などジャーナリストとしての行動規範は普通以上にバランス
           の良い方だと思う。

           不思議に思うのはそんな規範バランスの取れた人が湯川さんの様な人の為に、
           なぜ単身でISISの勢力エリア迄行こうとしたのかが疑問である。
           かなりの期間、湯川さんと行動を共にしていた事が伺える事から、彼の行動規
           範を知らなかったとは思えないのだが・・・?
           紛争地の子供達に思いを馳せる後藤さんと、紛争をビジネスチャンスにしよう
           とする湯川さんとでは、かなり規範の違いが有り過ぎると考えるのは私だけで
           は無いでしょう。

 

 

なぜ、この時期に?  ( この地域への渡航の必然性 )

 

    二人がなぜこの時期に渡航しなければならなかったのかに付いて、再度確認して見よう。

    後藤さんについてはジャーナリストとしての職業的理由と、知り合いの湯川さんが ISIS
    の捕虜になっていると言う背景を考えれば、納得出来る行動と言える。
    もしかしたら、【湯川さん引き渡しを口実に、ISIS に誘導された可能性】も考えられる。
    (最後の渡航で性急に ISIS 勢力圏に入った事からも、湯川さんから何かの連絡が?)

    一方、湯川さんについては【利己的理由】以外に、今この地域に足を踏み入れ無ければなら
    ない理由が見当たらない。

 

 

国の対応   (本当に、日本人の安全を守る為の活動をしたのか?)

 

    少なくとも、現地対策本部などに居た要員や中山外務副大臣は、最大限の努力をされて居られ
    た事と見受けられる。

    しかし、総指揮官であるべき安倍首相の言動には疑問が有る。

    まず、ISIS による湯川さん拘束が明確になった昨年8月からの経過を追って見ましょう。

      2014/08    ISIS 、湯川さん拘束をネットに公開 
               政府対応 ⇒ 「不当な拘束に対し即時解放要求」と「関係諸国に解放
                     に向けた交渉活動の協力を依頼して居る」との官房長官
                     談話を出した (国内向け・・実際の外交実態は不明) 
      2014/10/25  後藤さん出国、(湯川さん救出に向かったものと思われている)
               ⇒ その後、消息不明となる
      2014/12/02  ISIS 関係者から後藤さんの家族(妻)にメール (内容は非公開)
               後藤さんが、ISIS に拘束されている事が家族に明かにされた
               (この時点で、家族と政府のコネクションがあったかどうかは不明)
               政府対応 ⇒ メデイアを含め、一般には非公開で動いていた形跡あり
      2015/01/17  中東歴訪中の安倍首相、エジプトで演説
               「 ISIS 非難」と「周辺国の難民支援などとして、2億ドル拠出」
               を要旨とした内容
                 参考: 2億ドル ≒ 約235億円/当時の円建換算 
      2015/01/20  ISIS、後藤さんと湯川さん拘束と、エジプトで表明した支援金2
               億ドルと同額の身代金要求動画がネットで公開された

               その後は各メデイアが競って報道している通り、1/24湯川さん殺害
               が公開され、1/31後藤さんの殺害が明らかになった
 

    経過を見て行くと、明らかなターニングポイントは、2015/1/17 のエジプト演説であろう。

    なぜこのタイミングで、日本人拘束事件のお膝元と言えるエジプトで、こんな挑発とも取れる
    演説をする必要が有るのか? 同じ事をするにしても、事件の解決迄は公表するべき内容では
    無かったのか、政治的センスを疑わざるを得ない失態だ
    人質の人命に対する配慮も全く感じられない事に、同じ日本人として怒りを感じる。

    それまでの ISIS は恐らくこんなシナリオは考えても居なかっただろうと思われる。
    これが20年前の【阪神淡路大震災】の慰霊式典を蹴飛ばして迄出掛けた成果なのだろうか。
    (奇しくも、阪神淡路大震災は1975年1月17日だった・・・なんて関係無かったですね!)

    冗談は兎も角として、ISIS に二人の人質が居る事を承知(国会答弁でも承知と明言)して
    居ながら、この様な演説内容てはどう考えても ISIS を刺激する内容以外何物でも無い。

    支援金は「難民医療」と「教育の為」、などと言った所で言葉通りに受け取る相手では無いし、
    その上 ISIS を直接非難したその場での支援うんぬんでは、 ISIS で無くとも反発する
    だろう。

    何よりも、人質の有効利用を考えて居た ISIS に取っては金も欲しかっただろうが、ヨルダ
    ンを揺さぶる利用価値を見出した。 言わば【とって置きの口実】を与えてしまった訳だ。

    安倍首相の周辺にその様なリスクに付いてアドバイスする人材が居なかったのだろうか?
    はたまた、アドバイスを無視して自身の良識を過信して居たのだろうか?

    【人命最優先】と何度も言って居ながら、自らの発言が、最悪のタイミングで発せられた事
    を誰よりも反省すべきなのに、平然と「私は間違った事は言って居ない」等と、国会答弁をし
    ている。  しかし、今回は 二人の日本人の命を縮めたトリガーになった事 は事実である。

 

 

今、日本として出来る【国際貢献】  (私の考える国際貢献)


    ISIS(イスラム国)問題以外にも、世界には「反体制紛争を抱える国」、「国境紛争」、
    そし「国境をまたぐ資源争奪紛争」等々紛争は数え切れない。
    それ等の抑止策として武力政策で対応しようとすれば、膨大な軍事力と、その為の経費もまた
    膨大な金額になる事は誰にでもわかる。 (軍師官兵衛なら、「下の下策」だと・・・)

    今の様な日本にとって最もあるべき貢献、それは【軍事的貢献】でもなく、【金のバラ撒き】
    でも無い。
         蒔くべきものは【平和の種】ではないだろうか?  ⇒  【教育支援】

    それは、千夜一夜の彼の国々に限らず、パキスタン、インド、アフリカ各国その他の国々の
    識字率向上こそが紛争抑止の根本だと思う。

    つまり、軍事支援の代わりの様な経済支援・は一切止めて、【貧困者の教育支援】に的を絞っ
    た教育プログラム支援を国策とする事で、世界の人材を育てゝ行けば、遠回りの様であっても
    確実に【紛争の芽】を減らせられ、日本の国としての評価も高くなるだろう。

      教育支援と言っても、金だけ出すのではなく、【人 ・ 物 ・ 金 + ノウハウ 】の援助
      及び、留学生の受け入れ ( 希望者には小学校~大学迄のコースも日本に整備 )

    10年、20年の長いスパンで見れば、同じ支援金額相当であっても効果の差は雲泥の差にな
    るものと思う。

    何よりも、戦争放棄・平和日本の基本が守れて、尚且つその信頼が深まれば、経済・技術輸出
    等の面でもより活性化して来る筈である。

    
始めの一歩

    最年少ノーベル賞受賞者、マララ・ユスフザイさんは、女性の地位向上の為に教育が必要と訴えて
    【マララ基金】を立ち上げて実行しているが、目指す所は同じ。

    日本もまず、後藤さんが目指した難民(特に子供達)救済で子供達の教育を担うべく出来れば彼等
    の身代金相当額を国から拠出して、仮称【後藤基金】を立ち上げ現地へ教育施設を立ち上げるのは
    どうでしょうか?

      (アベさん、国際世論の動向からは、今が一番タイミングがいいと思いますけどね!)

 

 

    シンジロウくん! そろそろ出番が近いんじゃないかい!     (大泉にて!)

 

    追申 : 湯川遙菜さんについては書くべき内容が無い、敢て書くなら 【夏炉冬扇】だった為
         メデイアも扱わなくなった。  第二・第三の湯川さんが出ない事を望む。

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最近不思議に思うこと。
①国会答弁のとき、議員が「○○お悔やみ」とか「○○痛恨の極み」とか、枕詞を使うこと。
②日本人の○○さんがイスラム国に同濃厚の・・・と、国会やニュースで取り上げられ事。
おれの感覚。
①こんなの聴いたことない。それがどうした?
②おれはわからん。勝手にしてくれ。

さすが、秀一君。 俺も何か事が起きると、何の関係も無い会議の質疑・応答の冒頭で、
「お悔やみ」とか「お見舞い」とかを枕詞みたいに言うのは場違いだと思っていた。
(議員達の単なるパフォーマンスで、まさに、枕詞以外何物でも無い=心がこもってない
 枕詞なんて無駄、まさに【夏炉冬扇】= “なんの役にも立たない事”の代表だ)

「そんな事に気を使うより、審議に集中しろよ!」って言いたい。

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このページは、久が2015年2月10日 03:00に書いたブログ記事です。

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