5月19日、中々同時に休めない親友と故郷で催される【山菜会】に招かれ、日帰りで参加する事にした。
前日の天気予報では故郷(新潟県・南魚沼市)では「曇り後雨」、【山菜会】の始まるお昼頃からは雨になるかも知れない。 と、言う事なので、少し早出をして、【美人】に逢いに行こうと言う計画をたてた。
友も私も故郷を語る時、幼い時から馴染んだ春の風景には言い現わし切れない郷愁の共通点があり、雪解け・春霞・ブナの芽吹き・山菜は春の代名詞と言える。
今回は、そんな春の【山菜】に出会える事になったのだから、ついでに【美人】にも逢いに行って来ようとなった訳。 もうお気付きの方も居られるでしょうが、そう、【美人】は美人でも、芽吹いて間もない【美人林(ブナ林)】の事。
故郷の隣、十日町市(松之山)にあると言う【美人林】、親友は何回か行った事があると言うが私は一度も行った事が無かった。 でも、行って見た結果、やはり行って見て良かった。 こゝへはリピーターになりそうだ。 子供達が一緒ならバードウォッチングには最適だ。
出来れば、レコーダー持参で1~2時間定点録音をして小鳥たちの声と風の音を収録したかった。 キツツキのドラミングも日常を忘れさせてくれる。 恐らく夏の夕暮れにはヒグラシの大合唱が聴けるだろうし、秋の黄葉や晩秋の落ち葉の森も散策にはいいだろうな!
そして時間が余ったのでついでに【星峠の棚田】や信濃川河畔・「越後三山」のビュースポット【十日町・北鐙坂(きたあぶみざか)】、故郷・城内の【上原と新堀新田境界・石万川付近】から「八海山」を撮影して回り、ちょうど昼からの【山菜会】に間に合った。 と、言う行程でした。
今回は、そんな【美人林】と【山菜】に惹かれてのワンデー・ドライブを中心に書いて見たいと思います。
【美人林】
今回の主役はその名の通り【美人林】と呼ばれるブナ林で、白神山地や岩木山・北海道などではもっと大木が林立するブナ林を見た事があるが、これだけ身近で気軽に行けるブナ林で、これだけの規模と優美さを兼ね備えた所は、多分数少ないだろう。
「どこが?」 と、問われても表現出来ないが、太平洋側とは何かが違う、雪国の愛着の有るブナ林である。
木漏れ日の中、時折聞こえるキツツキのドラミングと小鳥たちの綺麗な鳴き声を楽しみながらの散策は、木立ちの放つ新緑の香りと相まって心洗われるひと時だ。
梢でさえずって居た小鳥かどうか解らない(鳥には詳しくなくて解らない)のだが、偶然目の前の小枝に飛んで来て、すぐに飛び去った小鳥が一羽カメラに捕えられた。
♦ 鳥の種類等不明 ・・・ 尾羽が長く、雀位か少し大きい?
(ムクドリよりもかなり小さくスリム、逆光気味な事もあるが体色は黒か灰色に見えた)
ブナの実は鳥たちだけでなくリスや小動物~熊などをも育む。 大切に残したいエリアだと思う。
≪ 余談 ≫
美人林の入口(駐車場の所)で山菜が売られていたが、思ったよりリーズナブル。 この日はウドとワラビが大量に出ていたが、木の芽(アケビの新芽)やウルイ・コゴミ・タラノ芽・コシアブラ・蕗、等々。 この後6月頃は竹の子(根曲り竹)が出る様になるとの事だった。
※ ゼンマイも採れるが、乾燥したものでないと売れない為観光用には出さないそうだ。
【星峠・棚田】
元来この地域を始め、日本各地では古代から水稲の産地が多く、棚田はどこにでも作られた。 最近まで棚田をわざわざ見に行くなど考えた事も無かったが、この【美人林】訪問の関係で集めた十日町観光協会発行のパンフレットに載っていた【星峠の棚田】写真に魅せられて、つい足が向いてしまった。
【美人林】 を堪能した後の時刻で、かつ天気が下り坂で湿度が上がって来ていた為、覚悟はしていたが遠くが霞んでしまい、PCで少しコントラストを強調してやっと、この写真でした。(これ以上調整すると、違和感が出るでしょう)
やはり、かなり整地された棚田でしたが、春夏秋冬・日の出前後・雲のたなびき方などのタイミングに恵まれたら、いい写真になる地形でした。
ちなみに、私の感動した十日町観光協会発行のパンフレットに掲載されていた写真と同じ写真を下記掲載しますが、著作権侵害となってはいけないので、他用出来ない縮小リサイズ版です、イメージ用とお考え下さい。
なお、この写真を始め、関連棚田写真は Google などの検索サイトから「星峠」・「棚田」をキーワードに見つける事が出来ますので、写真としてはそちらのサイトでお楽しみ下さい。
【信濃川と越後三山】 ・・・・・ 信濃川河畔(十日町・北鐙坂付近)にて
♦ 写真左 : 河岸段丘上からの信濃川下流方向 写真右 : 同じ位置からの越後三山
上、左側の写真 「信濃川」の右岸に十日町市街地が広がり、手前に見える橋がR253号線。
写真撮影の場所は足元から30~40mの崖(河岸段丘)になり、信濃川西岸を形成している。
上、右側の写真は同地点から東正面を眺めた風景。空気が澄み切って居れば【越後三山】が良く見えるのだが、大気中の水分が増加中のこの日は残念ながら魚沼丘陵の後ろに、薄っすらとしか見えなかった。 越後三山はこの方角からが一番、三山揃ってバランス良く、美しく見える。
( 越後三山とは左から、「越後駒ヶ岳」・「八海山」・「中ノ岳」 )
勿論、ご存知の方が多いとは思いますが、こゝ河岸段丘上で見付けたアンニンゴ(ウワミズザクラ)が満開で、新緑や藤の花との微妙なミスマッチも絵になるかと思い、1枚。
説明不要かと思いますが、白い猫じゃらしの様な花が「アンニンゴ」の花。 この花の蕾みが白くなる前の柔らかい時期に摘んで塩漬けにしたものが、山菜のアンニンゴとして道の駅などで売られている。
(一部の地方では若い=柔かな果実も同様に塩漬けにしてアンニンゴと呼ぶらしい)
【八海山】 ・・・・・・ 久し振りの上原からの眺め
天気のせいで色彩は出難かったのだが、山頂をズームアップして行ったら 「千本檜小屋」 や 「地蔵岳」 への登り道、脇にある「大きな(丸い)岩」まで良く見えた。 昔、この岩の上で、イサオが万歳してた写真が有ったっけなー。
【山菜会】 ・・・ 恐縮、ただただ山菜料理を「ごっつぉ」んなり
腹いっぱい食って飲んで・・・幸せだな~ 僕かあ! (古~い!)
♦ 会場になった、地域開発センター(鬼の面=おんのつら前)からの宇田沢川
こう言うコンクリートの見えない、魚たちや生態系に優しい堤防も残したいものだが、地元に暮らして居ない人間のエゴなんだろうか?
♦ 開始前、配膳 ・・・ 参加者多数でテーブルに並ぶ形、写真はほゞ一人前のレイアウト
写真の「おひたしの盛り合わせ」は右側が私の割り当て分、左は隣の人の分。 また、上のテーブルの3品は3人にひと鉢平均に盛り付けられた漬物類で、ミヤマイラクサ・蕗・ウルイ、アサヅキとアンニンゴの漬物。
この他、天ぷら(タラノ芽・フキノトウ・ウド・コシアブラ・ツルニンジン・モミジガサ)やワラビ汁、ヨモギご飯、手打ち蕎麦などが出され、他にビールや日本酒などが十二分に振舞われた。 山菜の種類は約20種類との事だが、宴が進むにつれて’(色々な料理に混入する例があり)数え切れなくて、数える事を止めた。
ヒデコ
おひたしの盛り合わせの中に、【シオデ】 と言う山菜が有ったが、東北(特に秋田を中心)では
【ヒデコ】 と呼ばれている。 民謡・ヒデコ節 にも歌い込まれる程ポピュラーな山菜らしい。
我々が子供の頃は、シオデもヒデコも聞いたことも食べた記憶も無いのだが・・・・・?
子供の頃の記憶はともかくとして、山のアスパラと言われる位で、やっぱり美味かったな~!
謎の山菜 【クタチ】
私にとって幼い頃は良く食べた記憶があるのだが中学卒業以来、誰に聞いても明確に覚えて
居る人に会えず、【クタチ】と言う山菜が長い間 謎の山菜であった。
今回は改めてその【クタチ】を味わう事が出来た。 (そう、まさに記憶の味・香りだった)
古老の話と地元の通人の話を総合すると、一般に「ソバナ」と言われている「ツリガネニンジン」によく似た花を咲かせる植物とわかった。 言われて見れば、ソバナもネーミングからして食べられる植物に完するナ=菜とソバ=蕎麦で、山菜辞典などにも載っている。
ただ、なぜ【クタチ】なのか、なぜ魚沼地方の特に古老でも一部の人しか【クタチ】と言わないのか? 疑問は残るが、【クタチ】の正体がわかっただけでも大きな第一歩だ。
それにしても、ソバナなら山野草として、花も葉も良く知っていたのに50年以上山菜としての認識をして無かったなんて、気が抜けてしまうね!
城内人の絆
今回 【山菜会】 に出席させてもらって嬉しかった事は、故郷の人達がこういう絆を大切にしている事と、こう言う集まりがもう数十年続いている事を初めて知った。 これが何よりも嬉しく頼もしい気がする。
そしてもうひとつ、我が町の自然 【ギフ蝶の生息地保護】 について、熱く語り会う人達が居た事である。
感動したな~! (これも古いフレーズでした! ・・・・・・ が、気持ちは同じです)
【関連地図】
♦ 広域図 ・・・・・ 赤丸の中にAマークの場所が【美人林】
美人林 ・・・・・・・・ B5
星峠の棚田 ・・・・・・ A4
注) 森の学校キョロロの位置がもっと手前だった様に思う。 松之山松口、美人林の入口付近だった。
♦ 星峠の棚田・補助MAP(詳細) ・・・ ✔ マークの所
注1.) 松代方面(右)からR403を来ると、右折場所がわかり難くトンネルまで来てしまう場合あり。
その場合はトンネルを潜って出たらすぐ左折すると、トンネルの上を通って星峠の棚田へ行ける。
注2.) 撮影場所を求めて未舗装の細い道に安易に車を乗り入れない事。 軽自動車のワダチを普通車
以上の車両で辿って行こうとすると、抜けられなくなったり転落事故の元となります。
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