突然逝ってしまった亘を偲んで………

あの頃 S30-3

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Ⅰ・移動班


田植えや稲刈りが手作業のころ、山間部の小農の人たちは、自分のところが片付くとグループを編成して、蒲原(かんばら)や上州(群馬県)の豪農の家に助っ人に回った。一種の短期出稼ぎアルバイト。
これを移動班といった。この風習も30年代にはもうなくなっていたかな?

 

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Ⅱ・嫁入り風景

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Ⅲ・「鳥追い」で追われたスズメたち


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鳥追いは、子供たちだけで行う伝統行事だった。
小正月が近づくと、近隣5軒くらいの子供が集まり、10日間程度かけて雪洞(ゆきんどう)を造る。
雪洞はかまくらと同じだが、かまくらがお椀型なのに対してこちらはビル形。
かまくらよりかなり大型で、子供たちにしてみれば、まさに自分らで造った雪の館。
屋上に登るための階段(雪で)までつけた。


小正月の日は、完成した館の中に炭火やモチ・ミカンなどを持ち込み、ひととき遊ぶ。
フィナーレは、全員で屋上にあがり、ワラを焚く。
パチパチはねる火の粉で顔を赤く染めながら、子どもたちは歌う。

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稲を食い荒らす害鳥スズメは、信濃の国(長野県)まで追い払いましょう、と歌うわけだ。

しかし、それじゃあ長野県が怒る。
「冗談じゃねえズラ。付録をつけて追い返すズラ」
と、長野県は長野県で(何と歌ったか知らないが)新潟県に向かって追い返す。
付録とは、自分の所にいたスズメ。ついでに、これも一緒に付けて返そう。
こうやって、2倍にふくれあがったススメの群れは、再び新潟県に向かう。


 

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県境にかすみ網を張って、東京の焼き鳥屋さんとでも提携しておけば、一儲けできたかもしれないなあ。

Uターンしたススメは、上田の里(六日町~湯沢)に降りる。
だから上田の里ではこう歌う。

♪ あの鳥ゃどっから追ってきた
  信濃の国から追ってきた
  何もって追ってきた
  しば抜いて追ってきた
  一番鳥も二番鳥も
  立ち上がれホーイホイ
  ホンヤラホンヤラホーイホイ

 

 

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湯沢では、際(さい)の祭りのおり、ドント焼きの周りを回りながら、

 

 

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六日町では、子供たちが一軒一軒の家を、夜までかかって回って

 

 

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小出では、拍子木を鳴らして追い払ったようだ。

 

もはやスズメに居場所はない。
その後、どこへ行ったか分からない。
おそらく三国山脈の奥にでも逃げ込んで、空腹に耐えなが一冬越したと思われる。。
 

 

 

やがて雪が消えて春がくる。
その春もゆくころ、城内の里は青い空に白い雲がポッカリ浮かび、田植えの済んだ水田は稲が勢いよく伸び出す。

このころ、六万騎山の稜線に1羽、堂平山に2羽、ジケから田崎にかかる山に3羽・4羽・・・、向こうの坂戸山に5羽・6羽・・・と、スズメが姿を現す。
そしてあっと間に数千羽に増え、これが城内の里を囲む。
 

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もう、腹ペコペコのススメたち。
水田はごちそうの山。
それっ! 
歓声を上げながら、ススメたちは田んぼに舞い降りる。
こうして、冬、この地を追われたスズメは2倍に膨れ上がって、再び城内の里に帰ってくる。
メデタシ、メデタシ。

 

 


Ⅳ・虫追い


「鳥追い」に対して「虫追い」という行事もあったようだ(城内では聞いたことがなかったが……)。
稲の成長期に発生する青虫。農薬のなかった時代にこれが大量発生すると――音を立てて桑を平らげるボコサマの、あの食欲を思い出してほしい――あれと一緒で、田一枚くらい簡単に裸にしたという。
「虫追い」はこいつを追い払う行事。「虫送り」ともいい、太鼓を鳴らしながら畔々を回った、そうだ。

この虫については、図鑑か何かで見た記憶があるのだが、調査が及ばない(調べておきます)。


 

あ、「鳥追い」のところで書き忘れたけど・・・。

 スズメのごちそうはこの青虫。彼らはグルメだから、稲葉みたいなまずいものは食(まくら)わない。
だからツバメといっしょで、青田のスズメは益鳥。

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コメント(1)

越後と信濃、隣同士でスズメの追っ払いっこをすると同じく、藤原と寺家(法音寺)でも子供同士が、こちらは近親憎悪もあってお互いに悪態をつきあった。
どっかで書いたかもしれないが、良く歌ったものだ。

♪ 寺家のバカども、えん(犬)のクソ拾って、ほつけさまへ上げて、線香1ぽん立てて、ハンニョクンニョ拝んだ、拝んだ。

寺家のバカどもがどう歌っていたかは知らない。

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